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トロンボーンをはじめたい!種類と特徴。購入前に知っておきたい基礎知識
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トロンボーンをはじめたい!種類と特徴。購入前に知っておきたい基礎知識

クラシックだけでなくポップス、ジャズ、ロック、ラテン、スカ など幅広いジャンルで活躍するトロンボーン。

これから何か管楽器を始めてみたいという方にはぜひオススメです。

「どうやって選べばいいの?」

「どれぐらいの価格なの?」

今回はトロンボーンの種類とその特徴、そして気になる価格帯までご紹介しますので、ぜひ楽器購入の際の参考にしてみてください。

トロンボーンの種類

トロンボーンの種類

http://www.photo-ac.com/

トロンボーンには高音域のピッコロ、ソプラノ~低音域のバス、コントラバスまで、大小さまざまな種類のものがあります。

この中でも一般的に使われるのはテナー、テナーバス、バスの3種類です。

「一般的」というとアルトトロンボーンも含むことが多いのですが、この楽器は主にオーケストラなどでテナー(テナーバス)トロンボーン奏者が持ち替えて使う楽器なので、今回は割愛させていただきます。

テナートロンボーン

テナートロンボーン

最もスタンダードなタイプと言えばこの「テナー」です。

細管と呼ばれる管の細いものが多く、その形状のシンプルさとあいまってレスポンスにも優れています。

吹き方によって柔らかい音からバリっと心地よく割れた音まで出すことができ、ホーンセクションやジャズなど、クラシック以外の音楽でもちいられることの多い楽器です。

テナーバストロンボーン

テナーバストロンボーン

「テナーバス」は後ろにぐるりと迂回管(うかいかん)が付き、左手の手元にあるレバーを押すことで息の流れる道が切り替わります。

これによって管が長くなり、音域が下に広がったり、遠くまで手を伸ばさなければ出なかった音が手前のポジションでも演奏可能になります。

管の太さは太管または中細管(太管と細管の中間)で、息の消費量は増えますが、その分細管よりも太く豊かな音が出ます。

クラシックや吹奏楽といった音楽ではこちらが一般的です。

バストロンボーン

バストロンボーン

迂回管(うかいかん)が2本になり、さらに低い音が出せるようになったのがこのバストロンボーンです。

テナー(テナーバス)奏者が持ち替えて演奏することもありますが、テナーとの演奏上の役割の違いや、比較的大きなサイズのマウスピースを使うことから専門の「バストロンボーン奏者」によって演奏されます。

オーケストラの3番トロンボーン、ビッグバンドの4番トロンボーンなど「複数のトロンボーンによるセクション」で最も低いパートはバストロンボーンが担当します。

管の太さ

テナーは細管、テナーバスは太管(中細管)と書きましたが、太管のテナーや細管のテナーバス(※)、さらにはスライドの上下でサイズの異なるデュアルボアというタイプもあります。

※細管テナーバス:あまり見かけない珍しいタイプです。これはアタッチメント付きのテナーと呼ぶこともありますが、呼び方が違うだけで同じものです。

ベルによる音色の違い

管が朝顔のように大きく広がった「音の出口」をベル(朝顔)といいます。

この部分は銅と亜鉛の合金である真鍮(しんちゅう)でできていて、銅・亜鉛それぞれの比率によって音色にも違いが出てきます。

今回は代表的な2つをご紹介します。

イエローブラス(銅:約70% / 亜鉛:約30%)

明るい音色が特徴です。パリッとした音で吹きたい方にはこちらがオススメです。

ゴールドブラス (銅:約85% / 亜鉛:約15%)

イエローブラスよりも暖かみのある柔らかい音色になります。

この他にもゴールドブラスより銅が多いレッドブラスや、銀92.5%を含んだスターリングシルバーで作られたものもあります。

材質だけではなくベルのサイズや、表面の仕上げがラッカーかメッキかといった違いでも吹奏感(吹き心地)・音色が変わってきます。

価格帯

製造しているメーカーや販売している楽器店によっても違うのであくまでも参考程度ですが、新品の場合ざっくりとこのくらいで考えておけば…という目安は以下の通りです。

金額にだいぶ幅がありますが、ある程度ちゃんとやろうと思ったらテナーで25万、テナーバスで35~40万くらいの予算で考えてみてください。

ただし、上記の価格より安くても良いもの、高くても自分とは相性が合わないものなど、管楽器は実際に吹いてみないと分かりません。

これからトロンボーンを始める方は楽器店のスタッフさんに相談するか、プロ奏者に立ち合ってもらってアドバイスを受けながら選ぶといいでしょう(プロに依頼する場合は基本的に選定料が発生します)。

直接連絡を取るか、楽器店に選定希望の旨を伝えるとプロ奏者を紹介してくれます。

マウスピース

マウスピース

トロンボーンは唇を振動させて音を出す楽器ですが、その振動を楽器本体に伝える役割を担うのがこのマウスピースです。

サイズや形状も多種多様なので、これも楽器店でしっかりと説明を受け、まずは楽器に合う最も標準タイプのものを購入しましょう。

価格は数千円~数万円するものまでありますが、マウスピースは相性によるところが大きいので、最初は1万円以内のものでも問題無いでしょう。

トロンボーンを選ぶ時に大切なこと

個人的な意見ですが、楽器選びで大切なのは吹奏感だと思っています。

過去に「レスポンスも音色も良いけど吹いていて何かしっくりこない、違和感を感じる」という楽器を使っていた時期がありました。

楽器を心から信頼できないと、それが演奏にも表れてしまいます。

自分が納得して違和感なく吹ける楽器であれば練習次第できっと素敵な音が出せるようになるので「楽器と自分の相性」の良いものを探してみましょう。

やりたい音楽や出したい音に合ったもの、そして自分の体格なども考慮して選んでみてください。

管楽器は体全体を使って演奏するので、合っていないものを無理して吹いていると不自然な奏法になり体を痛めることにもなりかねません。

決して安い買い物ではないので、長く付き合っていけそうな楽器をきちんと選び、トロンボーンと音楽を楽しんでください!

ライタープロフィール

島田直道

トロンボーン奏者

島田直道

1985年生まれ。

栃木県出身。

高校からトロンボーンを始め、昭和音楽大学短期大学部 と専門学校 東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現:尚美ミュージックカレッジ)を卒業。

現在は自身のラテンジャズユニットKiyoseción でのライブをはじめ、アーティストのバックバンド、レコーディング、トロンボーン講師、執筆などで活動。

https://www.facebook.com/kiyosecion

また、サルサなどラテン音楽の専門家としても研鑽を積み、これまでLA-33、Yumuri、HERMANOS YAIPEN、Charanga Habanera、Victor Manuelle、Maykel Blanco y su Salsa Mayor など海外ラテン・アーティストの来日公演にてオープニングアクト等出演、Marcelo Villar(ex-Mayimbe)、Juan Carlos "El Lobo de la Salsa"(ex-Adolecentes Orquesta)、N'Samble来日の際にはバックバンドも務める。

2014年~2015年にかけて、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」にて【ラテン音楽講座】を連載。

http://circle.musictheory.jp/

2016年、大編成サルサバンド ORQUESTA REGULUS(レグルス)を結成。

https://www.facebook.com/orq.regulus/

EL COMBO CREACION、Star Salsa、PORCO ROSA、ORQUESTA HAVATAMPA メンバー。

ウェブサイト:http://gauche-tb.com

Twitter:gauche_tb

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