楽器の女王、フルートの魅力とは?多彩な音色に魅せられて
「フルート」というと誰でも一度は名前を聞いたことがある楽器だと思います。
小・中学校の音楽の教科書にも登場しますし、ピアノやヴァイオリンに次いで演奏している人が多い楽器です。
私もフルートという楽器を実際に演奏するようになるまでは、どんな「音」なのか、どんな見た目なのか、といったことをあまり知りませんでした。
「銀色で高い音がする」という漠然なイメージしかなかったのです。
今回はフルートの魅力や楽器についてご紹介いたします。
フルートってどんな楽器?
フルートは息を吹き込んで音を出す管楽器で、一般的に金属製が多いにもかかわらず木管楽器に位置付けられている楽器です。
どうして金属でできている楽器なのに木管楽器なのか…不思議に思われる方がいるかもしれません。
実際、私も金属で作られている楽器は金管楽器、木から作られているのが木管楽器、という認識しか持っていませんでした。
しかし、フルートの歴史を知ると「なるほど」と納得せずにはいられない理由がありました。
フルートの歴史は管楽器の中で最も古く、4万年前に動物の骨を使って作られたものが発見されています。
もともと息を吹き込む穴と音程を作るための2〜3個の穴があるだけのシンプルな構造の楽器だったフルートは、次第に材質を木に変え指で操作する穴も増えていきました。
そこから長い年月をかけて徐々に改良され、キーが出現し半音階の演奏を容易にするためのメカニズムが生まれ、大きな音量を得るために金属で作られるようになったのです。
フルートが一般的に金属で作られるようになったのは1850年頃だと言われています。
フルートが木管楽器といわれる所以(ゆえん)は「以前木から作られていた」からである、ということはお分かりいただけたと思いますが、フルート奏者の私からいわせてもらえば、フルートは金管楽器・木管楽器という他の管楽器群と大きな違いがあり、音の出るメカニズムが独特です。
それは、フルートには音を発生するための物が「何もない」というところです。
金管楽器であれば金属でできたマウスピースといわれる音を出すためのものがあり、木管楽器であればリードと呼ばれる木でできたものがあります。
金管楽器、木管楽器ともにそれらを用いて空気を振動させて音にします。
フルートの場合、息を吹き込むところにあるのは「ただの穴」だけです。
その穴のエッジに息をぶつけて空気の渦を発生させて空気を振動させているというものです。
よく風の強い日に電線が音をたてて鳴っているのも基本的な原理は同じようです。
音色は明るく透明感があり、運指の容易さから速いメロディーを演奏することも得意でオーケストラではメロディーを受け持つことが多いです。
音域は高く、曲の中で鳥などに例えられることもあります。
フルートはどんな楽器とも馴染みやすい音色でクラシックのみならず、ジャズ・ボサノバ・ラテン・ロックなどにも使われています。
フルートの魅力は?
フルートの一番の魅力、それは吹く人によって全く異なる音が出るということです。
フルートには直接、音を発生させるものがないため、演奏する人の演奏法、唇の形、息の吹き込み方によって音色が大きく変化するのです。
音を出すときにマウスピース・リード・弓などを介さないのでより直接的に音色を作ることができると私は思います。
それは私達が歌を歌うように表現できるということでもあります。歌いことが好きな人は歌うように演奏できるフルートの魅力にすぐ気づくはずです。
あとフルートは持ち運ぶときに3つに分解して運ぶのですが小さく・軽く・どこにでも手軽に持っていけるところも大きな魅力の一つです。
音量も大きくはないので比較的どこでも演奏・練習しやすいです。
魅力を語りだすと尽きませんが、楽譜に書いてある音と演奏して出てくる音が同じであることもいい点だと思います。
管楽器の多くは移調楽器と言われるものが多く、楽譜に書いてある音と演奏して実際に出てくる音が違いますが、フルートにはそういったこともありません。
また、楽器を始める時に「見た目で選ぶ!!」という人もいるかもしれません。
フルートは構えの優雅さ可憐さから女性に特に人気があり、「楽器の女王」とも表現されることもあります。
確かに演奏している姿は何ともいえない魅力があるのです。
フルートを始めるには?
特に必要なものは楽器とメンテナンス道具くらいです。
楽器はピンキリで6万円程度のものから、上は1,000万円以上するものまでありますが、値段が高ければいい、ということは全くありません。
値段の差は材質の差と、どこまで丁寧に作ったかという部分によるものです。
材質は一般的な銀の他に、洋銀と呼ばれる銀の代わりによく使われる金属、金、プラチナ、木などで、それぞれ演奏上のメリット・デメリットがありますが、材質による音色の差はあまりなく、吹奏感などが大きく違います。
日本には多くのフルートメーカーがあり、世界中のフルーティストが日本のフルートを使っています。
それは日本のフルートが世界に誇れる品質を持っているからにほかなりません。安い楽器でも十分演奏可能です。
私は今吹いているフルートを16年吹いていますが、消耗部品を交換すれば半永久的に使い続けることができます。
「今からフルートを始めたい」という方はできれば先生を見つけて習うのが上達する近道です。
どんな楽器でもそうですが、ある程度吹けるようになってくるとどんどん楽しくなってくるものです。
一度気付くと一生手放せなくなるような魅力をフルートは持っています。