サックスのリードの選び方。おすすめリード
サックスはダンチクという植物から作ったリードを振動させて音を出す木管楽器です。
そして、振動する張本人がリードなのですから、リードは音色を決定づける「最重要パーツ」といえます。
個人的には、楽器の良し悪しよりも、リードとマウスピースの良し悪しの方が重要だと思います。
楽器屋さんの店頭に、カラフルに並ぶさまざまなリードたち。
今回は、リードの選び方を解説したいと思います。
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クラシック系おすすめリード
マウスピースによって相性はあるのですが、ポピュラーなのは以下の3つになると思います。
リードを1枚ずつバラ売りしてくれる楽器屋さんも多いですが、基本的には箱で買って、良く鳴るものを選びましょう。
初心者でも、良く鳴るリードは必ずわかります。
というより、初心者こそ良く鳴るリードで練習しないと上達しません!
バンドレン|トラディショナル
「青箱」と呼ばれ、初心者からプロ奏者まで、まさに定番中の定番。
このトラディショナルでたまに出会う「大アタリ」リードは格別。
使用者の多いセルマー社「S80 C☆」や「S90 180」といったマウスピースでは、硬さ「3」か「3 1/2」との相性が良いと思います。
たまに硬いリードを使うほど上級者だと勘違いしている人がいますが、そんなことはありませんのでご注意を!
バンドレン|V12
リードは先端にいくにしたがって徐々に薄くなっていますが、その加減がトラディショナルよりも穏やかなんだと思います。
しっとりと鳴ってくれる印象で、筆者のお気に入りです。
「青箱」の「大アタリ」ほどの爆発力ほどではないですが、「アタリ」の確率がやや高い気がします。
V12の硬さ「3」が、トラディショナルの「3」と「3 1/2」の間くらいだと感じますが、バンドレン社は同じだと言っています。
カッティングの違いでそう感じるんだと思います。
レジェール|シグネチャー
葦製ではなく樹脂製のリード。
筆者は現在はクラシック、ジャズともにこの銘柄を使っています。
葦製の「大アタリ」には及びませんが、まあ「アタリ」に入れても良いかなってくらいです。
葦製にはない樹脂独特のツルツルした感じが嫌だという人も。
樹脂製を使っているんで「リード バイタライザー」で湿度管理しなくていいんですよね。
管理は楽チンです。
ジャズ系おすすめリード
ジャズ系のマウスピースは本当にいろいろあるので、自分の出したい音をます明確にイメージしないと、なかなか方向性が定まらず、迷走してしまうことも。
目標となるサックス奏者を決め、その人のセッティングを参考にしながらいろいろと試すことをオススメします。
RICO(リコ)|ラボーズ by D’Addario(ダダリオ)
筆者はジャズ系リードでは、このラボーズの「ミディアム」「ミディアムソフト」を使っていた期間が一番長いです。
コントロールしやすく、クオリティも安定していました。
クラシック向けのリードに比べ、薄くカットされた部分が多く、いわゆる「コシ」が弱く感じます。だからすぐに「へたる」のですが、「へたって」からが勝負なら、それでOKですよね。
RICO|RJA1025 by D’Addario
通称「オレンジ」で親しまれる定番中の定番。
ほかのリードよりもお値段がお安めなのがうれしいですね。
ズバッと息が入る感じで、ラボーズよりもパワフルに鳴る印象。
筆者はテナーのオットーリンクメタル「7☆」のマウスピースに、リコ「2 1/2」を合わせて使っています。
これだと少し楽に鳴りすぎるかなと感じていますが、なかなかしっくりくるリードが見つけられずにいます。
D’Addario|ジャズセレクト
ジャズ向けでは最もコシが強い部類に入るのではないでしょうか。
筆者は樹脂製リードに変える前にこのリードを使っていました。
クオリティも安定している印象です。
「ファイルドカット」と「アンファイルドカット」が用意されていますが、「ファイルドカット」の方がややコシが強いように思えて、そちらを気に入って使っていました。
バンドレン|ジャバ
バンドレンのジャズ向けリードの定番。
ジャズを始めたころ、メイヤー「5番」というマウスピースにジャバ「2 1/2」や「3」を合わせて使っていました。
バンドレンらしい美しい仕上がりが印象に残っています。
MARCA(マーカ)|JAZZ
パンチの効いた鳴りが印象的です。
音の立ち上がりから、とにかくよく鳴ってくれ、自分の音が太くなったように感じるかもしれません。
クオリティも安定しており、筆者も気に入って、一時期使っていましたが、マウスピースとの相性なのか、吹き方なのか、このリードの能力を使い切れていない感じがして、ほかに乗り換えたのを記憶しています。
最後に
いかがでしたか?
定番リードに加えレジェールやマーカなど、実際に試した中から「これは!」と思うものを紹介させていただきました。
結局のところ、リードが気持ち良く振動してくれることが、いい音色につながります。
奏者が「リードの振動を程よく制御してやる」ということです。
リードに気持ち良く振動してもらうために、どんな口の形、どんな息の使い方が一番良いのかを探し当てることが最も重要です。
つまり、楽器演奏のための最も効率的な奏法を身につけることが大切なのです。
もちろん、マウスピースやリードを固定するリガチャーとの相性も重要ですが、それはあくまで補助的なものにすぎません。
リードの振動をしっかり感じて、名手たちの音色とどう違うのか、どうしたら近づくのか、口の中の形や、マウスピースのくわえ方、息の使い方の違いを具体的にイメージしながら練習することが上達の近道だと思います。
いろんな音色を聞いて分析し、グッドサウンドの実現に向け、一緒に頑張りましょう!
ライタープロフィール
サックスのプロ奏者
平井尚之
愛知県一宮市出身、在住。
高校で入部した吹奏楽部でサックスを手にし、その後亀井明良、小串俊寿の各氏に師事し、洗足学園音楽大学に進学。
大学在学中は冨岡和男、大和田雅洋の各氏に師事し、クラシックスタイルの演奏を学ぶ。
大学卒業後、ジャズサックスを、大森明、土岐英史の各氏に師事。
現在はジャズコンボやビッグバンドのほか、吹奏楽やサックス四重奏といった編成などでも演奏活動を展開。
また、わかりやすく、楽しく、をモットーとした大好評のアドリブ講座を各地で開催中。